絶滅危惧種の保全を、レッドリストのカテゴリ区分、保全の方法、そして国際的な取り組みという観点から見つめ直そう。数字だけでなく、それぞれの生きものが背負っている価値を理解することが大切だ。
IUCNや環境省のレッドリストでは、絶滅の危険度に応じて生きものが分類されている。もっとも深刻な「絶滅危惧IA類(CR)」、それに次ぐ「絶滅危惧IB類(EN)」、さらに「絶滅危惧II類(VU)」といった区分があり、数字が小さいほど絶滅の危険性が高いことを示す。この区分は、限られた保全予算や人手をどこに優先的に投じるかを判断する重要な指標になっている。
保全のアプローチには大きく二つある。生きものが本来くらす自然の中で保護区を設けて守る「生息域内保全(in-situ)」と、動物園や水族館、繁殖施設で個体を保護・繁殖させる「生息域外保全(ex-situ)」だ。トキの人工繁殖と放鳥は、生息域外保全で個体数を増やしてから生息域内へ戻す組み合わせの好例といえる。
奄美大島・徳之島にのみ生息するアマミノクロウサギは、原始的な特徴を残したまま孤立した島で独自に進化してきた「遺存固有種」だ。大陸から切り離された島の生物地理学的な歴史そのものを体現しており、その存在は単なる一種の保護にとどまらず、地域の生態系や進化の記録を守る意味を持つ。外来種のマングースの導入によって一時激減したが、駆除事業により回復が進んでいる。
絶滅危惧種の中には、角や牙、毛皮などを目的とした密猟・違法取引の対象になっているものも多い。こうした国境をまたぐ取引を規制するために結ばれた国際条約が「ワシントン条約(CITES)」で、絶滅のおそれのある野生動植物の国際取引を制限している。国内の保全活動だけでなく、国際的な協調があってはじめて、地球規模での種の保全が可能になる。