気候変動を、大気科学のメカニズムと、社会がとるべき対策の両面から見つめ直そう。「なぜ気温が上がるのか」と「どう向き合うのか」を理解することが、これからの行動の第一歩になる。
太陽から地球に届いた熱の一部は、大気中の温室効果ガス(二酸化炭素・メタンなど)に吸収され、地表付近にとどめられる。これが「温室効果」で、地球が生命にとって適した気温を保てるのはこのしくみのおかげだ。人為的に温室効果ガスの濃度が上昇すると、地球が吸収する熱と放出する熱のバランスがくずれる。このバランスの変化量を「放射強制力」とよび、地球温暖化の進み方を評価する重要な指標になっている。
「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は、世界中の研究をまとめ、数年ごとに評価報告書を発表している組織だ。最新の報告書では、人間活動が地球温暖化の主要な原因であることは「疑う余地がない」と述べられており、平均気温の上昇にともなって、猛暑・大雨・干ばつなどの極端現象が強まる可能性が高いと評価されている。
気候変動対策には大きく二つの方向性がある。一つは、温室効果ガスの排出そのものをへらす「緩和(ミティゲーション)」で、再生可能エネルギーの導入や省エネルギーがこれにあたる。もう一つは、すでに進みつつある気候変動の影響に対応する「適応(アダプテーション)」で、防災インフラの強化や高温に強い品種の開発などが含まれる。この二つを組み合わせて進めることが、国際的な対策の基本方針となっている。
気候変動は、身近な生態系にも影響をおよぼしている。たとえば日本の特別天然記念物であるライチョウは、寒冷な高山帯にのみ生息する鳥だが、気温の上昇によって生息に適した環境が標高の高い方へと縮小し、個体数の減少が懸念されている。このように、気候変動は遠い未来の話ではなく、身近な自然の変化として現れ始めているのだ。